葛(くず)
葛(くず)【概要】
- 葛の根は葛根湯でしられる漢方の生薬。
- 葛粉、葛の葉は民間療法や健康食品に利用されている。
- 発汗や解熱などの効能があり、風邪に効果的と言われる。
葛(くず)はマメ科のつる性の多年草で、日本各地の山野に自生し、とくに奈良県吉野地方の「吉野葛」は良質品として有名です。
葛の健康効果でもっとも知られているのは漢方薬である「葛根湯」でしょう。葛根湯に用いられているのは葛根という葛の根を乾燥したもので、現在の日本では医薬品として扱われています。
葛根は「日本書紀」にも登場しており古来より広く用いられてきた生薬で、発汗、解熱薬として利用されてきました。現在でも葛根を原材料とする葛根湯は主に風邪薬として利用されています。
葛根は健康効果が高いとされていますが、医薬品扱いのため一般の食品や民間療法で利用することはできません。
葛根に似た効能を持つ葛の成分として葛粉(くずこ)というものがあります。葛粉(くずこ)は食品の他、民間療法や健康食品などに利用されています。
葛粉(くずこ)とは葛のデンプン質を精製して粉末にしたものです。葛粉は熱湯でとき葛湯(くずゆ)として飲んだり、葛餅(くずもち)として食べたりします。
葛の葉(くずのは)も葉緑素を含むので食用や民間療法に使用されます。また、葛の花も食用として利用されることがあります。
クズの主な成分と効能や効果
葛の根である葛根の主な成分は鎮痙作用(けいれんを抑える作用)をもつダイドゼインと10~14%のでんぷんです。
葛根の主な効果として解熱、冠状動脈の拡張、脳血流量の増加などがあります。漢方の“葛根湯”として知られており、葛根湯としては風邪予防、初期の風邪治療、肩こりの解消、血行促進などの効能があるとされます。
葛粉をお湯でといた葛湯は体をあたため、体内の水分喪失を防ぎ、口渇を止め、下痢の緩和に効果が期待できます。特に小児や老人には効果的と言われています。
さらに葛湯は発汗剤として解熱する効果もあります。又、血行を促進し、筋肉の凝りもほぐしますので、肩凝りのひどい時に用いるとよいでしょう。
また、葛の花穂(かすい)は二日酔いに効果的と言われます。
くずの食べ方・利用方法
葛湯は葛粉を小スプーン2~3杯を水に溶かし、これを透きとおる迄煮て、好みに応じて甘みをつけてから食べます。
二日酔いには3~4本の花穂を3~4日天日干ししてから、これを1日量として400mg(牛乳ビン2本分)の水で煎じて数回に分けて飲みます。
葛の葉や葛の花は食用として食べることもできます。
葛の葉は4~5月頃、若芽や若葉をつみます。アクはあまりなく、塩1つまみを入れた熱湯でさっとゆでてから冷水に入れ、水をきってあえものなどに用います。
葛の花は8~9月頃のつぼみや8分咲きのものを花穂からしごきとり、酢をおとして熱湯で軽くゆで、冷水でさましてから、酢のものにします。
葛(くず)に含まれる健康成分
葛(くず)に含まれる健康成分には以下のようなものがあります。