杏仁(キョウニン)
杏仁(キョウニン)【概要】
- 杏仁は杏(あんず)の種のこと。
- 漢方薬に使われる時はキョウニン、スイーツに使われる時はアンニンと言う。
- 咳を鎮めたり、痰を抑える効果がある。
杏仁(キョウニン)とは杏(あんず)の種の硬い殻を割って中の仁(さね)を取り出し、乾燥したものです。
杏仁というとスイーツの杏仁豆腐(アンニンドウフ)を思い浮かべる方が多いと思いますが、杏仁豆腐の「杏仁」もキョウニンと同じ杏の種です。杏仁豆腐ももとは薬膳料理でしたが、その美味しさから中国の伝統的なデザートとなっています。
尚、杏の木は中国北部原産で、古くから栽培されているバラ科の落葉樹です。杏は古くから医療と深い関わりがありました。
中国の三国時代(3世紀)、呉の名医、薫奉は治療費の代わりに杏の木を植えさせました。それが数年で立派な杏の林になったという故事から、「杏林」という言葉が医者の異称となっています。
また、当時の中国の処方では、杏の核の大きさを錠剤の大きさの基準の一つにしていたとも言われています。
日本に渡来したのは奈良時代で当時は杏のことを唐桃(カラモモ)と呼び、もっぱら薬用として用いられていたようです。今日では長野県、山梨県で栽培されていますが、生薬の杏仁は大部分を中国からの輸入品にたよっています。
キョウニンの主な成分と効能や効果
杏仁は漢方の生薬として使われる他、日本でも日本薬局方に登録されている薬剤でもあります。
日本薬局方に鎮咳、去疾薬として収載されている他、漢方では麻黄湯、大青竜湯などに配剤されています。
「杏仁エキス(キョウニンエキス)」や「キョウニン水」は杏仁を原料として作られたものです。
具体的な効果・効能は次の通り。
- 咳、ぜんそく、呼吸困難に効果的。
- 痰を抑えたり、痰を切る。
- むくみの水を去り、利尿作用がある。
- 胸間の水毒を駆除。
杏仁の使い方
煎じた杏仁を一日量3~6g程度飲む。咳止めとしてぜんそくや呼吸困難、便秘、利尿、胸痛、疼痛に効果があるとされています。
杏仁の注意点・副作用
杏仁には青酸配糖体のアミググリン、加水分解酵素のエムルシン、バンガミン酸などを含みます。
アミグダリンはエムルシンにより青酸、ベンズアルデヒド、ブドウ糖に分解されます。そのため、多量に服用すると青酸による中毒症状がでますので、注意が必要です。
また、小児は食べない方が良いようです。
杏仁(キョウニン)に含まれる健康成分
杏仁(キョウニン)に含まれる健康成分には以下のようなものがあります。