ワカメ(わかめ)
ワカメ(わかめ)【概要】
ワカメ(わかめ)は1万年以上前の貝塚から発見されています。『大宝律令(701年)』には海藻(にぎめ)とともに、現在芽株またはみみとよばれる生殖器官である胞子葉さえも海藻根(まなかし)と分けて貢納品となっています。『万葉集(759年)』では和海藻を「にぎめ」、稚海藻を「わかめ」、『延喜式(えんぎしき・927年)』では海藻を「にぎめ」、和布を「わかめ」と読ませていました。既ににぎめの若い体をワカメ(わかめ)として区別していました。その後、若い体の方が食用として優良なことから、一般にワカメ(わかめ)と呼ぶようになりました。
ワカメ(わかめ)養殖は1953年に宮城県女川湾で、中国でコンブ養殖を成功させた大槻洋四郎氏によって始めて行われました。1970年前後から養殖生産が天然生産を上回り、国産で12万トンを超えるまでになっています。現在でも97%が養殖生産ワカメ(わかめ)です。その後、品質と収穫量の安定、加工技術の発展により需要が著しく拡大した結果、韓国、次いで中国からの輸入量が増大し、現在では35万~40万トンの供給量のうち、中国産50~60%、韓国産20%となり、国産は5万~7万トン(20%)にまで低下しています。
●ワカメ(わかめ)の生態
ワカメ(わかめ)として食用とする海藻は、褐藻・コンブ目・チガイソ科・ワカメ属のワカメ、ヒロメ(U.undarioides)、アオワカメ(U.peterseniasa)のほか、アイヌワカメ属のチガイソ(Alaria crassifolia)、アイヌワカメ(A.praelonga)、コンブ科のアントクメ(Eckloniopsis radicosa)と種類は多いですが、ワカメ(わかめ)以外はごく限られた地域で代用品として利用されています。ワカメ(わかめ)は、北海道東岸と南西諸島を除く日本全沿岸と朝鮮半島に特産します。
胞子葉と栄養葉とが隔たっているか否かで、前者をナンブワカメ(U.pinnatifida f. distans)、後者をワカメ(U.pinnatifida f. tipica)と2品種を認めることもあるが、食用としてはまったく区別しません。生活環はコンブ型の異型世代交代です。食用とする胞子体は、低潮線付近から水深10mほどまでの海底に秋に発芽し、翌年2月頃から胞子葉を形成し、雌雄の配偶体に生長します。ワカメ(わかめ)は遊走子を放出後、夏には枯れる一年生海藻です。ワカメ(わかめ)は冬から春に収穫されます。
●ワカメ(わかめ)の加工品
1965年以前の天然採取時代には産地独特の干しワカメ(わかめ)加工法が発展した。生のワカメを海水で洗って干した素干しわかめを淡水で洗って干した塩抜きワカメ(わかめ)、熱水を通して陰干しにした湯抜きワカメ(わかめ)などです。長崎県では葉をもみながら乾燥させる「もみワカメ(わかめ)」があります。伊勢土産の「糸ワカメ(わかめ)」は葉を細かく裂いて干したものです。
徳島県鳴門地方では、「鳴門ワカメ(わかめ)」と称してワカメを草木灰にまぶして乾燥させた後、灰を海水で洗い落として干した「灰干しワカメ(わかめ)」があります。徳島県産ワカメ(わかめ)で作った製品を特に「本場鳴門ワカメ(わかめ)」と言います。三陸沿岸では、細かく刻んですのこの上に並べて抄き干しした「簀干しわかめ(すぼしわかめ)」が生産されました。日本海に産するワカメは薄くやわらかいので、ていねいに葉を広げ葉と葉の端を重ねて張り合わせ、板状に干して板わかめ、または熨斗わかめとして市販されています。さっとワカメ(わかめ)をあぶってごはんにかけたり、おにぎりにまぶしたりすて食します。鳥取、島根、石川産のワカメ(わかめ)が有名です。
養殖生産によって品質と収穫量が安定した後、生塩蔵わかめが開発されて消費が飛躍的に拡大しました。次いで、生のワカメ(わかめ)を約90℃の熱湯に30~40秒浸し、海水で冷却後塩蔵する湯通し塩蔵わかめが岩手県で開発されました。葉緑素の緑色が美しく、保存、調理が簡便なので多くの家庭で日常的に利用するようになりました。その後、湯通し塩蔵わかめを細切りして乾燥させたカットわかめが簡便性、保存性から消費者に歓迎され、また業務用やインスタント食品への利用など需要が拡大し、現在ではわかめ加工製品の主流になっています。
●ワカメ(わかめ)の利用
ワカメ(わかめ)の葉は、みそ汁の実、酢の物、そばやラーメンの具、ふりかけなど古くからの利用法のほかに、二次加工品であるカットワカメの誕生によって海藻サラダやワカメスープなどのインスタント食品へと利用は拡大しました。調味ワカメ(わかめ)は食塩、糖、アミノ酸、天然エキスなどで調味、乾燥した製品で、混ぜご飯や炊き込みご飯、ふりかけ、スープの素、焼きわかめなどにして食べます。
粉末ワカメ(わかめ)は乾燥品を粉末にしてそばやうどん、パンに練りこんだり、豆腐に混ぜ込んで利用します。ワカメ(わかめ)の中央を走る中肋を茎わかめといい、漬物やつくだ煮、または細切りにして冷凍品や乾燥品、または調味品が市販されています。アルギン酸やフコダインをとくに多く含むので特有のぬめり気があり、汁の実、酢の物、ごはんいかけて食べると美味です。
ワカメ(わかめ)に含まれる健康成分
ワカメ(わかめ)に含まれる健康成分には以下のようなものがあります。