角質細胞間脂質
- 角質細胞間脂質とは肌の保湿成分の主役。
- 角質細胞間脂質の主成分はセラミド。
- 角質細胞間脂質が不足すると乾燥肌・肌荒れになる。
角質細胞間脂質とは肌の角質層に含まれるセラミドを主成分とする脂質(つまり油)です。角質細胞間脂質は角質層の細胞と細胞の間に存在し、肌の保湿に重要な役割を果たしています。
肌には3つの保湿成分があり「保湿の三因子」もしくは「うるおい因子」と呼ばれています。「角質細胞間脂質」はその内の一つで、あとの2つは「NFM(天然保湿因子)」と「皮脂膜」です。
角質細胞間脂質は「保湿の三因子」の中で最も保湿力に優れており、肌の潤いを保つ主役的成分です。
角質細胞間脂質の働き
角質細胞間脂質の働きは主に2つです。一つは角質細胞同士をしっかりつなぎとめる接着剤のような働きをします。この働きによって角質細胞がきれいに整列し、整った肌になります。
二つ目は保湿です。角質細胞間脂質と水分はラメラ構造と言って<脂質>-<水分>-<脂質>-<水分>-<脂質>と何層にもサンドイッチ状で存在しています。この構造によって角質層に水分を閉じ込め、高度な保湿を実現しています。
このように角質細胞間脂質は肌を整え、保湿の働きをすることで、外界からの刺激や細菌などから肌を守るバリア機能の役目を果たしています。
角質細胞間脂質の成分
主な角質細胞間脂質の成分は次の通りです。
- セラミド類 : 約54%
- 遊離脂肪酸 : 約21%
- コレステロール : 約16%
- コレステロールエステル : 約8%
- etc.
角質細胞間脂質の主成分はセラミドで、50%以上を占めます。つまり、肌の保湿にはこのセラミドが最も重要な成分と言えます。事実、最近の保湿化粧品はこのセラミドを配合させることが主流となっています。
角質細胞間脂質が不足すると
角質細胞間脂質が不足すると角質層の水分保持ができなくなり乾燥肌の状態になってきます。また角質細胞間のつなぎが弱くなるため角質細胞の並びが乱れ、ささくれたりめくれ上がったような状態になります。つまり肌荒れの状態になります。
このような状態は肌を守るバリア機能を弱めることから、外界からの刺激や細菌などにも敏感になり更に肌荒れが進行しやすくなります。
実際にアトピー性皮膚炎や老人性乾皮症、乾燥性敏感肌の人はセラミドが正常な肌の人の10分の1ほどしかないと言われています。
角質細胞間脂質が不足する原因
角質細胞間脂質、特にセラミドが不足する原因は主に4つあります。それは「物理的に角質細胞間脂質が失われる」「ターンオーバーの乱れ」「老化」「病気」です。
○物理的に角質細胞間脂質が失われる
洗顔やメイク落としなど肌を過度にこすったりすると角質細胞がはがれ、それと共に角質細胞間脂質も失われてしまいます。肌を洗う時はやさしく洗いながしましょう。
○ターンオーバーの乱れ
睡眠不足やストレス、ホルモンバランスの乱れなどによる自律神経の乱れによってターンオーバーの乱れは起こります。角質細胞間脂質はターンオーバーの過程で生成されますのでターンオーバーが乱れると自ずと角質細胞間脂質も減少します。
○老化
角質中のセラミド量は加齢とともに減少することが分かっています。また、老化によりターンオーバーの周期が長くなることも角質細胞間脂質を減少させる要因と言えます。
○病気
アトピー性皮膚炎やニーマンピック病、ゴーシュ病などセラミド量の減少を引き起こす病気があります。セラミドが減少する明確なメカニズムは分かっていませんが、セラミド生成酵素の欠損もしくは生成を阻害する物質が原因だと推察されています。