妊娠・授乳時のカルシウム摂取量
なぜ妊婦・授乳時にはカルシウムが必要なのか
妊婦(妊娠時)・授乳時には赤ちゃんのために通常以上のカルシウム量が必要となります。
妊娠3ヶ月目になると赤ちゃんの骨はママのお腹の中で成長をはじめ、4ヶ月目には骨格ができます。
生後間もない赤ちゃんには約350本の軟らかい小さな骨があります。太くなったりくっついたりして成長し、成人の骨は206本になるとされます。
これらの骨をつくるために、妊娠期には約30mg、授乳期には約230mgのカルシウムが、ママの体内から赤ちゃんに渡るといわれています。
妊婦、授乳中においてもカルシウム摂取量を増やす必要はない!?
妊娠中、授乳中のママは体内のカルシウムが赤ちゃんに送られるため、カルシウムが不足しがちになります。
成人女性の1日のカルシウム摂取推奨量は600~700mgですが、妊娠期及び授乳期は前述の通り多くのカルシウムが必要になります。
しかしながら、厚生労働省によると
とあり、通常時におけるカルシウム摂取推奨量を摂っていれば問題ないとされています。
以前は厚生労働省においても、妊娠中は300mg、授乳中は500mgそれぞれ付加量として増加することを推奨していましたが改訂されているようです。
ただし、「カルシウム摂取の付加量が必要ない」というのは、あくまで摂取推奨量を達成している場合の話です。
カルシウム摂取推奨量は20歳女性で700mg、30歳女性で600mgですが、実際の平均カルシウム摂取量(平成15年国民健康・栄養調査報告)は20歳女性で457mg、30歳女性で465mgとカルシウム摂取推奨量に全く足りていないことが分かります。
やはり妊娠・授乳時のカルシウム摂取量は意識的に増やす必要があるようです。
カルシウムを多く含む食品
カルシウムを多く含む食品には以下のようなものがあります。
食品 | 1回に摂取する量 | カルシウム量 含有量(mg) | ||
分類 | 食品名 | 目安の量 | 可食部重量(g) | |
<牛乳・乳製品> | 牛乳 | コップ1杯 | 180 | 200 |
プレーンヨーグルト | 小1カップ | 100 | 120 | |
プロセスチーズ | スライス1枚 | 20 | 130 | |
<魚介類> | 干しえび | 大さじ1 | 8 | 570 |
ししゃも | 3尾 | 50 | 165 | |
うなぎ(蒲焼き) | 1尾 | 100 | 150 | |
ちりめんじゃこ | 大さじ2 | 10 | 55 | |
<豆類> | 豆腐(木綿) | 1/3丁 | 100 | 120 |
納豆 | 中1パック | 40 | 40 | |
<野菜> | 小松菜 | 1/3束 | 70 | 120 |
水菜 | 1/10束 | 50 | 105 |
カルシウムの吸収率を高める成分
カルシウムを摂取する場合、カルシウムの吸収率を高めることも重要です。カルシウムの吸収を高める成分とは「ビタミンD」です。ビタミンDは干ししいたけや魚介類に多く含まれています。
またビタミンDは日光にあたった時に体内で合成されますので、定期的に日光浴することも効果的です。ただし、紫外線の浴びすぎには注意が必要です。
ビタミンDを合成するのに必要な日光浴の時間は季節や場所によって異なりますが、大体20~30分とされます。参考までに国立環境研究所の調査では、12月の晴天の正午ですと、那覇市で8分、茨城県つくば市で22分、札幌市では76分必要で、7月の晴天の正午では、那覇市は3分、つくば市が4分、札幌市が5分という報告があります。
ビタミンDを多く含む食品
ビタミンDを多く含む食品には以下のようなものがあります。
食品 | 1回に摂取する量 | カルシウム量 含有量(ug) | ||
分類 | 食品名 | 目安の量 | 可食部重量(g) | |
<魚介類> | くろかじき(生) | 1切れ | 80 | 30 |
あんこう(肝) | 30 | 33 | ||
紅鮭 | 1切れ | 80 | 26 | |
身欠きにしん | 2本 | 50 | 25 | |
さんま | 中1尾 | 120 | 23 | |
かわはぎ | 1切れ | 50 | 23 | |
いわし丸干し | 中2尾 | 40 | 20 | |
<野菜> | 干ししいたけ | 大3個 | 15 | 3 |
<卵類> | 鶏卵 | 全卵1個 | 50 | 3 |
妊娠・授乳時のカルシウム摂取における注意点
カルシウムを最も効率的に摂取できるのが乳製品です。しかし、乳製品はカロリーも高く太りやすいという性質もあります。妊婦にとって無意味な体重の増加は好ましいことではありません。
カルシウムを摂る際は乳製品だけでなく、魚介類、豆類、野菜を意識的に組み合わせて食するようにしましょう。
