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十二指腸潰瘍に関する説明

十二指腸潰瘍

十二指腸潰瘍【概要】

  • 十二指腸潰瘍とは十二指腸の球部に潰瘍ができる病気。
  • 十二指腸潰瘍の主な原因はピロリ菌。
  • 十二指腸潰瘍は空腹時に腹痛がおきる。

十二指腸潰瘍とは胃のすぐ下にある十二指腸に潰瘍(深い傷)ができている状態を指します。

十二指腸は胃と小腸をつなぐ消化器官で、潰瘍とは腸内の粘膜状になっている内壁が下の組織まで損傷している状態のことです。ちなみに内壁の上層だけなど損傷が軽い場合は潰瘍ではなく「糜爛(びらん)」と呼ばれます。

潰瘍と言えば「胃潰瘍」がよく知られていますが、基本的には潰瘍ができる場所の違いです。胃潰瘍は胃に潰瘍ができるのに対し、十二指腸潰瘍は十二指腸(基本的には胃に近い球部と言われる部分)に潰瘍ができます。

十二指腸潰瘍の症状

十二指腸潰瘍の症状として代表的なものは腹痛です。いわゆる”みぞおち”と言われる上腹部が痛みます。その他にも胸焼けや吐き気などが生じる場合もあります。

十二指腸潰瘍がひどくなると、腹痛も背中に抜ける程の痛みになってきて便に血が混じったり吐血することもあります。この場合の出血は黒っぽいタール状になっているのが特徴です。尚、出血が見られる場合は腹膜炎を起こしている可能性が高いので一刻も早く大きめの病院(手術可能な病院)で診察してもらうことをオススメします。

十二指腸潰瘍と胃潰瘍の違い

十二指腸潰瘍と胃潰瘍は潰瘍のできる場所が違うのは当然ですが、その他にもいくつか違う傾向を示すものがあります。それは次のようなものです。

●潰瘍の数
胃潰瘍の潰瘍はひとつの場合が多いのに対して、十二指腸潰瘍は複数の潰瘍が併発する傾向にあります。

●発症する年齢
胃潰瘍は40歳以降の年配者に多くみられるのに対し、十二指腸潰瘍は10~20代の若年層に多く見られます。

●腹痛が起きるタイミング
胃潰瘍は食後に腹痛が起きやすいのに対し、十二指腸潰瘍は食前・食間の空腹時や夜中に腹痛が起きる傾向があります。逆に食後は腹痛がおさまることも多いようです。

●胃酸の分泌
胃潰瘍は胃酸の分泌が少なくなる傾向があるのに対し、十二指腸潰瘍は胃酸の分泌が増える傾向にあります。

十二指腸潰瘍の原因

十二指腸潰瘍の原因の二大因子と言われているのは「ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ)」と「エヌセイド(非ステロイド系消炎鎮痛薬:NSAIDs)」です。

ピロリ菌は胃酸という過酷な環境でも生存できる細菌で、十二指腸潰瘍及び胃潰瘍の原因の大半はこのピロリ菌と言われます。特に十二指腸潰瘍では90%以上がピロリ菌によるものと言われます。

ピロリ菌は胃や十二指腸の粘膜に感染し、ピロリ菌が出す酵素や免疫反応によって炎症が起き、粘膜を損傷します。そしてその状態が続くことで潰瘍ができるというわけです。

十二指腸潰瘍か胃潰瘍の違いはピロリ菌の感染分布の違いとも言われます。胃潰瘍の場合は胃全体に分布しているのに対し、胃の出口にある幽門部分に集中して分布している場合は十二指腸潰瘍になると言われます。

一方の十二指腸潰瘍の原因であるエヌセイドは一般に「痛み止め」と言われる薬のことです。エヌセイドは市販薬でも使用されています。

慢性関節リウマチなど長期間エヌセイドを服用する方に十二指腸潰瘍もしくは胃潰瘍が多い傾向があります。

その他、割合は低いですが、飲酒、喫煙、ストレス、過労なども十二指腸潰瘍の原因、もしくは十二指腸潰瘍を促進させる因子と言われます。

十二指腸潰瘍の診断・検査

十二指腸潰瘍の検査には「血液検査」「X線撮影」「内視鏡検査」があります。「血液検査」は十二指腸潰瘍というよりはその他の病気がないか確認する意味合いが強く、「X線撮影」「内視鏡検査」と合わせて行うことが多いようです。

「X線撮影」ではその造影からある程度認識できると言われますが、確実なのは「内視鏡検査」です。内視鏡検査は患者には辛い検査ですが、圧倒的に精度が高く、また同時に治療も行えるメリットもあります。さらに、組織を採取してがん細胞の有無を確認することもできます。

十二指腸潰瘍の治療

十二指腸潰瘍の治療は原因療法となり、大半はピロリ菌の除去治療なります。ピロリ菌が除去できると再発率は約5%とかなり低くなります。ピロリ菌除去治療は胃酸を抑える薬と抗生物質を1週間程度服用するだけです。副作用としては下痢や腹痛、口内炎などが見られますが、治療中止となるひどいものは稀なようです。

エヌセイドの服用によるものは、服用を中止すれば症状は治まります。ただし、関節リウマチなど服用が中止できない患者さんの場合は、エヌセイドの副作用によって減少する粘膜細胞を保護する物質を投与する治療が行われます。

十二指腸潰瘍に効果的な食事・栄養素

十二指腸潰瘍になったとしても、基本的には通常通りバランスの良い栄養と規則正しく食事を摂るということになります。ただし、飲酒やタバコ、カフェインや香辛料などの刺激物は避けるべきです。

敢えて言うならば、ビタミンAビタミンUなど粘膜の強化に関する栄養成分は十二指腸潰瘍に効果的と考えられます。

尚、ピロリ菌を抑制すると言われる食品がありますが、ピロリ菌感染者には効果的と考えられます。ピロリ菌抑制に効果的と言われるのは次のようなものです。

ヨーグルト(LG21)
ハチミツ
ココア
ブロッコリースプラウト
・シナモン
クランベリー
・海藻類など

十二指腸潰瘍に効果があると思われる食品成分

十二指腸潰瘍に効果があると思われる健康成分には以下のようなものがあります。

□十二指腸潰瘍に効果があると思われるアロエウルシンを含む食品
アロエ / ・・・もっと見る
□十二指腸潰瘍に効果があると思われる笹多糖体を含む食品
熊笹(クマザサ) / ・・・もっと見る
□十二指腸潰瘍に効果があると思われるスクワレン・スクワランを含む食品
小麦胚芽 / オリーブ / ・・・もっと見る
□十二指腸潰瘍に効果があると思われるビタミンA(カロチン)を含む食品
エルダーベリー / ハブ茶 / コンフリー / えんどう豆 / マナガツオ(真魚鰹) / プルーン / カシス / ・・・もっと見る
□十二指腸潰瘍に効果があると思われるビタミンUを含む食品
キャベツ / アスパラガス / セロリ / レタス / 牛乳 / 卵(たまご) / 青海苔 / ・・・もっと見る
□十二指腸潰瘍に効果があると思われるフコイダンを含む食品
昆布(こんぶ) / ひじき / もずく / ワカメ(わかめ) / メカブ / ・・・もっと見る
□十二指腸潰瘍に効果があると思われるメチルメチオニンを含む食品
青海苔 / アスパラガス / レタス / キャベツ / ケール / ブロッコリー / ・・・もっと見る
□十二指腸潰瘍に効果があると思われるリノール酸を含む食品
アボカドオイル(アボカド油) / 胚芽米 / ペポカボチャ / トウモロコシ油 / 鶏肉 / 黒豆(黒大豆) / 豆腐 / ・・・もっと見る
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