牛肉
牛肉【概要】
牛肉はたんぱく質、脂質を多く含み、とくに赤身は鉄を筆頭にさまざまなミネラルにも富みます。牛肉に含まれている鉄は吸収されやすいヘム鉄で、吸収率が植物性食品に含まれる非ヘム鉄に比べて約7倍もあり、貧血や冷え性の予防・改善に高い効果が期待できます。
牛肉には亜鉛も多く、味覚を正常に保つほか、たんぱく質合成に関与し成長を促進する働きもあります。現在、日本で消費される牛肉の約6割が輸入牛肉です。残りの4割が国産牛肉(3ヶ月以上日本国内で飼育した牛の肉)で、そのうちの約6割がホルスタインなどの乳用種を肉牛用に肥育した牛(乳用肥育牛)、残りの4割が和牛と和牛交雑種です。和牛肉は霜降りが多くてやわらかいのが特徴で、品質の位置付けも高いです。
現在の牛肉を食する習慣の歴史は比較的新しい。古くから日本には仏教伝来により生まれた肉食禁止の風習があり、すたれつつも江戸時代まで続いていました。文明開化以降、肉食の習慣は次第に回復しましたが、牛肉などの肉食が庶民の間に本格的に普及したのは戦後になってからのことです。
[牛肉の種類と仲間]
■和牛:
国産牛と外国種との品種改良によって生まれた肉食専用種で、黒毛和牛、褐毛和牛、日本短角種、無角和牛の4種類があります。流通している和牛肉のほとんどは黒毛和牛です。
■ホルスタイン種:
乳用種として有名な牛肉ですが脂肪が少なく赤身の多い肉質で、成長が早いです。和牛とホルスタイン種をかけ合わせた交雑種の生産も増えています。
■輸入牛:
主な輸入元はアメリカとオーストラリアです。ほとんどは各部分に解体された牛肉で、冷凍または冷蔵された状態で輸入されます。品種はアンガス、ヘレホードなど。
[牛肉の選び方のポイント]
牛肉を選ぶ時のポイントは赤身はつやのある鮮紅色で、脂肪は白色から乳白色。赤身と脂肪の境目がはっきりしているものが良いとされます。
[牛肉の保存方法]
牛肉をラップに包み密閉容器に入れて冷蔵庫で保存します。牛肉のかたまりや薄切り肉は3~7日保存可能です。牛肉のひき肉は翌日には食べきる必要があります。牛肉は冷凍すれば1ヶ月程度保存可能と言われています。
[牛肉の主な栄養素(可食部100g当たり/和牛・肩ロース・皮下脂肪なし・生)]
・たんぱく質・・・14g(アミノ酸スコア100 *和牛サーロイン・脂身を除く)
・脂質・・・36.5g
・鉄・・・0.7mg
・亜鉛・・・4.6mg
・ビタミンB・・・0.17mg
エネルギー:403kcal(100g当たり)
[牛肉の主な生理機能成分(推定機能)]
・ヘム鉄(貧血抑制)
体内への吸収がよく、利用性がきわめて高い鉄化合物。造血促進。
・コラーゲン(皮膚機能維持改善)
細胞を結合させ、皮膚の新陳代謝を活性化。血管を強化し老化を予防。
・コリン(脳機能維持改善)
記憶力向上。血管を拡張し高血圧、動脈硬化を予防。
・ペプチド(血圧低下作用)
血圧を上げるホルモンの生成を阻害し、血圧を下げる働きがある。
・カルノシン(抗酸化)
活性酸素を消去し細胞を酸化損傷から保護。動脈硬化、糖尿病を予防。
[牛肉の期待される効果・効能]
貧血予防 高血圧予防 免疫力強化 味覚機能改善 糖尿病予防 脳機能維持改善 骨の強化
牛肉に含まれる健康成分
牛肉に含まれる健康成分には以下のようなものがあります。