トラネキサム酸
トラネキサム酸【概要】
- トラネキサム酸は止血や炎症を抑える医療薬として利用されている。
- トラネキサム酸は肝班などシミの治療にも利用されている。
- m-トラネキサム酸は資生堂が開発した美白有効成分。
トラネキサム酸とは必須アミノ酸であるリシンをベースに人工的に作られたアミノ酸です。トラネキサム酸は主に止血剤として利用され、長い間医療薬品として様々な治療に用いられています。
またトラネキサム酸には抗炎症作用もあり、口内炎や扁桃炎など炎症の痛みの緩和にも利用されています。止血作用と抗炎症作用があることから歯磨き粉の薬用成分としても多く利用されています。
トラネキサム酸が一般的に知れ渡ったのは、肝班などのシミの改善に効果的であることが分かり、さらにその性質を利用して美白成分として利用されるようになったためです。
トラネキサム酸の性質を元に美白有効成分として開発された「m-トラネキサム酸」という成分もあります。
トラネキサム酸の効能と美白効果
トラネキサム酸の主たる効能は「プラスミン」という酵素を抑制する抗プラスミン効果です。プラスミンは血栓を分解したり、炎症を起こす作用があります。このプラスミンの作用を抑制することでトラネキサム酸には止血効果や抗炎症効果を発揮します。
さらにプラスミンには、それらとは別にシミの要因であるメラニン生成に関与する働きも持っています。
まずはシミができるプロセスをご覧ください。
【1.】ケラチノサイト（表皮細胞）に紫外線などの刺激物質が作用する
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【2.】様々な情報伝達物質がメラノサイトを活性化させる
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【3.】メラノサイトの活性化によりチロシナーゼが活性化する
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【4.】チロシナーゼとチロシンが結合する
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【5.】メラニンが生成される
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【6.】過度のメラニン生成による色素沈着
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【7.】新陳代謝の低下によりメラニンが排出されない
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【8.】シミ・くすみ・そばかすができる
この中でプラスミンは【2.】の情報伝達物質の一つとなります。トラネキサム酸はこのプラスミンの作用を抑制するため、メラニン生成を根本から遮断し、美白効果を発揮するとされます。
トラネキサム酸はシミの中でも特に肝班に効果的とされています。肝班の原因は女性ホルモンだと考えられています。つまり、上記【1.】における刺激物質が紫外線ではなく女性ホルモンということです。
プラスミンはこの女性ホルモンが刺激物質になった時に放出される情報伝達物質ということらしく、それ故トラネキサム酸は肝班の予防に効果的と言われています。また、メカニズムは明確になっていませんが、トラネキサム酸には肝班を還元（できてしまった肝班を改善）する効果も期待できるとのことです。
事実、皮膚科等においても肝班をはじめ老人性色素班、炎症性色素班治療の薬としてトラネキサム酸が処方されています。
トラネキサム酸と「m-トラネキサム酸」の違い
m-トラネキサム酸とはトラネキサム酸の性質を元に資生堂が開発した美白成分で、化粧品やクリームなどに配合されています。
トラネキサム酸は服用（経口摂取）が主ですが、皮膚への浸透性と安全性の向上を考えると肌に直接塗る外用薬の方が効果的との考え方ができます。しかしトラネキサム酸は水溶性であるため肌に直接塗っても浸透しないという問題があります。
その問題を解決し、さらに美白効果を高める目的で開発されたのが「m-トラネキサム酸」です。つまり「m-トラネキサム酸」は肌への浸透を促進する要素が加えられている（その他にも美白要素が加えられているらしい）ため、厳密にはトラネキサム酸とは別の成分と言えます。
「m-トラネキサム酸」は厚生労働省より美白有効成分として医薬部外品の認可を受けています。
トラネキサム酸の副作用・注意点
トラネキサム酸は安全性の高く副作用も殆どない成分として知られています。しかし、血栓溶解を抑制する性質があることから、脳血栓や心筋梗塞など血栓系の疾患がある方は注意が必要です。
その他、胃の違和感、食欲不振、下痢、生理痛が重くなるなどの症状を起こすこともあるようです。こうした症状がでた時は迷わず医師に相談しましょう。
トラネキサム酸の効果があると思われるもの
トラネキサム酸には以下のような効果・効能が期待できます。
■トラネキサム酸が含まれる食品例
トラネキサム酸が含まれる食品には以下のようなものがあります。
