心筋梗塞
心筋梗塞【概要】
- 心筋梗塞は2時間以内に治療が完了すれば生存率はかなり高い。
- 心筋梗塞の主な原因は冠動脈の動脈硬化によるもの。
- 心筋梗塞の症状は耐え難い胸部の激痛が30分以上続く。
心筋梗塞とは心臓の筋肉に血液を送り込んでいる冠動脈が動脈硬化や血栓により詰まり、心臓の筋肉が壊死して心臓が正常に動かなくなる病気です。いわゆる心臓発作や心臓麻痺と言われるものは主に心筋梗塞のことを指しています。
心筋梗塞は死亡率の高い危険な病気で、発病したら早急な対応が必要です。救急車を呼ぶことは当然として、救急車の到着前に心臓マッサージなどを行う必要もあります。
冠動脈が詰まると約30~40で心臓の筋肉は壊死していきます。そのまま放置すると6~24時間で壊死が心臓全体に広がる傾向にあります。この間、不整脈や心不全などの合併症も起きやすく、死亡の多くは48時間以内に起こっていると言われます。
逆に言うと、48時間を越えられれば生存率が高まります。基本的に心筋梗塞は2時間以内に病院で治療が完了すれば生存率は90%以上と言われます。
心筋梗塞の症状
心筋梗塞の発作は胸の痛みから始まります。すぐに激痛に変わり、その痛みはナイフで刺されるような激しい痛みが最低30分以上続きます。あまりの痛さに呼吸困難や発汗、嘔吐、血圧低下、意識不明などの症状がでることもあります。酷い場合はショック死することもあります。
心筋梗塞の種類
心筋梗塞にもいくつか種類があります。基本的には発病からの経過時間によって名前が変わります。
急性心筋梗塞
心筋梗塞と言うと一般的には急性心筋梗塞のことを指します。冠動脈への血液が急に途絶えることで発病する心筋梗塞です。主に発病から3日間以内の状態を指します。
亜急性心筋梗塞
発病して3日以上30日間以内の心筋梗塞を指します。亜急性とは医療用語としてよく使われる言葉で急性と慢性の間の期間のことです。心筋梗塞の場合は急性と陳旧性の間という形で使われます。
知らない間(もしくは症状があっても耐えてのりきった)に心筋梗塞になっており、その後、検査や症状が再発して発見されるケースの心筋梗塞です。最も危険な状態は脱していますが余談を許さない状態です。
陳旧性心筋梗塞
発病して30日以上経過した心筋梗塞のことです。比較的安定状態にある心筋梗塞です。しかし、損壊した心臓の筋肉は元に戻らないため息切れや動悸が起こりやすくなったり、心筋梗塞の再発、心不全や不整脈が発病しやすい状態なので注意が必要です。
無痛性心筋梗塞
発作が起こっても痛みを感じない心筋梗塞です。高齢者や糖尿病患者に見られる症状で、神経障害によるものと考えられています。単に自覚症状がないだけで、病態は通常の心筋梗塞と同様のため突然死に至ることも少なくありません。
無痛性心筋梗塞は痛みを訴えないため発見が難しいですが、痛みは無くとも発汗を伴う場合が多いので、高齢者や糖尿病患者に異常な発汗が見られた場合は心筋梗塞を疑う必要があります。
心筋梗塞の前兆
心筋梗塞は何の前兆もなく突然発作が起きる時もありますが、大抵は胸部や肩、みぞおちなどの痛みを感じるケースが多くあります。この痛みは狭心症という病気によるもので、軽度の心筋梗塞と言えるものです。
狭心症の痛みも激痛の場合がありますが心筋梗塞とは違い耐えられる程度のものが多く、また発作の時間も大方は数分から数十分で治まると言います。
心筋梗塞の前兆はこの狭心症の症状が何度か繰り返され、その後、耐えられない痛みが突然襲い、数十分経っても治まらない状態になります。
心筋梗塞の原因
心筋梗塞の多くの原因は冠動脈の動脈硬化によるものです。動脈硬化とは血管内にコレステロールがこびれつき血管が細くなったり弾力性を失う病気です。
動脈硬化を起こすとそのまま血管が塞がってしまう場合もありますが、血管が細い上に弾力性が無いため、血栓が詰まって血管が塞がるのが多くのケースです。そして血管が塞がることにより、心臓の筋肉に血液が送られなくなり心筋梗塞が発病します。
心筋梗塞の原因は他にも動脈硬化の他にも梅毒や解離性大動脈瘤などによるものもあります。
心筋梗塞の治療
心筋梗塞は一刻を争う病気で1分でも早く治療した方が生存率が格段に上がります。発病から2時間以内に治療が終われば殆どの場合は助かると言われます。治療の段階は次のように行われます。
発作時の対応・応急処置
心筋梗塞の発作が起きた時は一刻も早く救急車を呼びます。救急車を待っている間は安静にしますが、意識があるか確認し、気道を確保しながら本人の楽な姿勢にします。
狭心症の患者は常備薬を持っている可能性があるので、持っている場合はそれを使用します。(ただし、症状は治まりません。)
意識が無い場合は、呼吸と脈拍を確認します。呼吸と脈に異常を感じたら、すぐに心臓マッサージと人工呼吸を行います。AEDが用意できれば合わせて使います。兎に角、心臓マッサージが大事です。
心筋梗塞の緊急治療
まず発作時の激痛を沈めるにはモルヒネが使われます。また呼吸困難には酸素吸入が行われます。
発病から6時間以内であれば冠動脈の血栓を溶かして血流をとり戻す処置をします。それがダメな場合は、カテーテルなどによって直接詰まった血管を開通する手術を行います。これが成功すれば最大の危険は回避できたと言えます。
心筋梗塞の緊急治療後
血流が再開したとしても心臓は損傷しており、また再発の可能性があるのでまだ死亡の危険性があります。数日間は絶対安静になります。
それ以後は内服薬を中心とした治療になり、リハビリテーションと共に再発予防のための治療や教育が行われます。
心筋梗塞の予防
心筋梗塞の予防は基本的に動脈硬化の予防と同様になります。動脈硬化には危険因子と言われる病気があります。これらを予防・改善・治療することが動脈硬化の予防につながります。
【主な心筋梗塞の危険因子】
・高血圧
・糖尿病
・高脂血症
・肥満
・ストレス
・タバコ
・etc.
もっと簡単に言うと、いわゆる生活習慣病を予防することが心筋梗塞の予防になるのです。生活習慣病の予防は「生活習慣」「運動」「食事」を見直し・改善することです。
心筋梗塞予防のための「生活習慣」
生活習慣では適正な睡眠や規則正しい生活というのもありますが、特に気をつけるのは「活性酸素」です。
活性酸素は細胞を攻撃し血管を弱らせるという影響もありますが、それよりもコレステロールが血管にこびれつくのに活性酸素は深く関係していると言われます。
活性酸素を増加させる生活習慣とは「ストレス」「タバコ」「紫外線」「排気ガス」「激しい運動」などです。これらを避ける生活を送ることが心筋梗塞の予防につながります。
心筋梗塞予防のための「運動」
運動は血流を良くし、血管にコレステロールが溜まるのを防ぐ有効な手段です。ただし、激しい運動は逆効果になる恐れがあるので、適度な運動にする必要があります。
適度な運動とはウォーキングやストレッチ、ゆっくりと遠泳するなどです。
心筋梗塞予防のための「食事」
心筋梗塞を予防するには食事は非常に重要です。まずは肥満を予防するために適切な摂取カロリーを知っておく必要があります。
●適切なカロリー摂取量
身長(m)×身長(m)×22×20~35
※最後の”25~35”は生活強度と言われるもので、事務職は20~25、営業職は25~30、農業、漁業は30~35、特に重労働している人は35、といった目安になります。
適切なカロリーに制限するだけでなく、栄養バランスも必要です。栄養バランスは厚生労働省と農林水産省による「食事バランスガイド」が参考になります。
その上で特に心筋梗塞に効果的な食事は血液サラサラ食材になります。それは次のようなものです。
●大豆製品
大豆に含まれるレシチンやイソフラボンはコレステロール低下作用があり、ナットウキナーゼには血栓予防効果があります。
●さんま、いわし、さばなどの青魚
さんま、いわし、さばなどに含まれるDHAやEPAには血管を柔らかくし、血流をよくする効果があります。
●トマト、ピーマン、ねぎ、ほうれん草
トマトやピーマンなどの緑黄色野菜にはコレステロールの酸化を防ぐ抗酸化作用のある成分が含まれているものが多くあります。また緑黄色野菜に含まれている食物繊維はコレステロールを排出する効果があります。
●水分
水分も心筋梗塞を予防する上で重要な食物です。水分が不足すると血液がドロドロして詰まりやすくなります。
心筋梗塞に効果があると思われる食品成分
心筋梗塞に効果があると思われる健康成分には以下のようなものがあります。