塩(食塩)
塩(食塩)【概要】
- 塩(食塩)は調味料や下ごしらえに欠かせない食材。
- 塩(食塩)は人間の生理機能に欠かせない成分。
- 塩(食塩)は高血圧の主な原因となっている。
塩(食塩)は正式名を「塩化ナトリウム(NaCl)」といいナトリウム(Na)と塩素(Cl)からできている物質です。
食塩は最も基本的な調味料で、料理の味付けだけでなく、殺菌力、防腐効果、酵素を抑える作用、脱水作用などによって調理の下ごしらえにも必要不可欠なものとなっています。
塩は古来から非常に貴重なものとして扱われてきました。「給料」を意味するサラリー(salary)の語源は、ラテン語のsalariumで「塩を買うための給金」という意味です。古代ローマでは塩がいかに重要であったかがわかります。
塩(食塩)の種類
塩は全て海水から作られています。しかし、製法によって原材料名は「海水」「海塩」「天日塩」「岩塩」「湖塩」の5種類に分けられます。
日本の塩は海水をイオン交換法という工業的な方法でつくられるものが殆どで、主成分である塩化ナトリウムの含有量によって、食塩、並塩、精製塩などに分けられます。
最近では塩田を利用する天日製塩や岩塩を原料にした輸入塩も自然塩(天然塩)として人気があります。グルタミン酸ナトリウム、にがりなどを添加した加工塩などもあります。
自然塩(天然塩)とは
自然塩や天然塩とは、一般的にイオン交換法で作られる塩に対して、岩塩や塩田で作った自然由来の製法で作られた塩のことを言います。
自然食ブームの煽りを受けた流れもあり、自然塩の方がミネラル分が多く、また味も美味しいといったイメージを持たれています。
実際にイオン交換法はマグネシウムやカルシウムなどのミネラル分を含むにがりを分離するためナトリウム以外のミネラルは殆ど含みません。
一方、自然塩や天然塩と言われる塩にはイオン交換法による塩よりミネラル分が多い可能性があります。
しかしその内容はイメージ的なものが強く、また商品によって曖昧なため消費者が誤解しやすいということから現在では「自然塩」「天然塩」と言った表現は公正取引委員会から規制されています。
塩(食塩)の栄養成分
塩(食塩)にはナトリウムが豊富に含まれていますが、その他の栄養成分は殆ど含まれていないと言っても良いレベルです。塩のにがりにはマグネシウムをはじめカルシウムやカリウムなどのミネラルが含まれていますが、少量のためあまり健康効果は期待できません。
塩(食塩)の効能・効果
塩は体内において非常に重要な働きをしています。しかし、塩が体内で果たす役割とは栄養といったものではなく、人間の<生理機能的な役割>が殆どです。
塩の主な効能・効果は次の4つです。
●細胞の保護
塩は細胞を包む細胞外液の中に含まれ、浸透圧を調整することで細胞が壊れるのを防いでいます。
●神経伝達
刺激を脳に伝えたり、脳からの命令を筋肉に伝えるのは神経細胞を通して行われますが、この伝達の仕組みに塩に含まれるナトリウムイオンが使われています。
●栄養素の消化と吸収
塩に含まれる塩化物イオンは胃酸の主成分です。また塩に含まれるナトリウムイオンは小腸で栄養分の吸収に作用しています。
●体内を弱アルカリ性に保つ
血液などの体液は弱アルカリ性に保たれています。これが酸性に傾いたり、アルカリ性が強くなったりすると体の機能に支障がでます。塩に含まれるナトリウムは酸性を中和して弱アルカリ性を保つ働きを補助しています。
塩の美容・健康効果
塩を入浴剤にしたりマッサージに使うことで、美容や健康に効果があると言われることがあります。
これは塩に「保温効果」「角質をとる」「たんぱく質を溶かす」作用があるとされるためです。
その為、塩は冷え性や美肌、ダイエット、アトピー性皮膚炎などに効果があると言われていますが、明確な仕組みはまだ解明されていません。試す場合には注意が必要です。
減塩のすすめ
塩(食塩)は私達には欠かせないものですが、殆どの料理に塩(食塩)が使われるため塩分(ナトリウム)が不足することはまずありません。
逆に塩(食塩)を過剰に摂り過ぎる傾向があり、それが高血圧の主な原因となっています。高血圧は動脈硬化につながり、更には脳卒中や心筋梗塞、腎臓病といった生命に関わる病気を引き起こす恐れがあります。
厚生労働省では1日の塩分摂取量を男性10g以下、女性8g以下にすることを推奨しています。近年では減塩の認識が高まっていることもあり、徐々に食塩摂取量が減る傾向がありますが、それでも10g以下にすることは難しいようです。
減塩の方法としては日頃の食生活を見直すことが一番ですが、特に醤油やソースなどの調味料を極力使わないように工夫することです。
また、減塩するには塩分を排出することも効果的です。塩分を排出するのはカリウムです。カリウムは野菜や海藻類、果物に多く含まれています。
減塩のし過ぎに注意
減塩の認識が高まる反面、それを意識し過ぎて「減塩病」という塩分不足に陥るケースが出てきています。
前述の通り塩は人間にとって必要不可欠ですので過剰に減塩すると、頭痛や吐き気、血圧の低下、立ちくらみや倦怠感、精神不安を感じるようになったりします。酷い場合は昏睡状態になって死に至るケースもあります。
これらは脱水症状と同様の症状ですが、脱水症状も発汗による一時的な減塩病と言えます。
また、一旦体内の塩分濃度が低くい体質になってしまうと塩を補給してもすぐ排出されてしまうため、長期の治療が必要になります。
塩(食塩)に含まれる健康成分
塩(食塩)に含まれる健康成分には以下のようなものがあります。