>   > 

便秘に関する説明

妊娠中の便秘解消法

妊婦さんの悩みの一つに便秘があります。実に妊婦さんの4~5割の方が便秘で苦労しているという話もあるくらいですから、如何に妊娠中に便秘になりやすいかが分かります。

妊娠中の便秘はある程度は日常生活で改善が見込めます。妊娠中は薬を飲むことに抵抗があると思いますので、まずは日常生活でできることをやりましょう。ただし、それがうまくいかず、ストレスが溜まったり、お腹が張ったり、痔になりやすくなったりと他に影響がでる場合もありますので、病院に相談することも視野にいれましょう。

妊婦が便秘になる原因

妊娠中に便秘になる原因はいくつかありますが、大きくは以下の3つが複合的に絡み合っています。

●黄体ホルモン分泌による腸の蠕動運動の低下
●子宮拡大による大腸圧迫と水分不足
●腹筋力の低下

黄体ホルモン分泌による腸の蠕動運動の低下

女性ホルモンには主に黄体ホルモンと卵胞ホルモンの2種類があります。この内、黄体ホルモンの分泌は腸の蠕動運動を低下させる働きがあります。その為、弛緩性便秘になりやすくなります。

尚、生理前も黄体ホルモンが多く分泌されるタイミングです。生理の時に便秘になりやすくなるのはそれが原因と言われています。

子宮拡大による大腸圧迫と水分不足

妊娠中は子宮の拡大により大腸が圧迫されることになります。大腸が圧迫されるとまず便の移動がスムーズにいかなくなります。そうなると腸内で便の溜まる時間が長くなり水分が吸収されてしまいます。その結果、便が固くなり更に排出しにくくなるという直腸性便秘になってしまうのです。

腹筋力の低下

排便をスムーズにするには腹圧が重要ですが、妊娠中は腹筋が弱ってくる上、妊娠中(特に妊娠初期)は腹筋を無理に鍛えることはできません。その結果、スムーズな排便が行いにくくなります。

妊娠中の便秘解消方法

妊婦の便秘の原因が主に「腸の蠕動運動の低下」「便における水分量の低下」「腹筋力の低下」にあるわけですので、これらの対処方法が改善の近道となります。

食事で妊娠中の便秘を解消

妊娠中の便秘解消は食事が最も重要です。「腸の蠕動運動の低下」「便における水分量の低下」を改善するキーワードは<乳酸菌>+<食物繊維>+<水分補給>です。具体的には以下がポイントとなります。

◇乳酸菌を増やす
腸の蠕動運動の低下を改善するには腸内環境を整えることが重要です。腸内環境を整えるには腸内細菌である善玉菌を増やすことが必要です。それに一番効果的なのは乳酸菌を増やすことです。

乳酸菌はを増やすには2つの方法があります。一つは「乳酸菌を外から取り入れる方法」。二つ目は「体内にある乳酸菌を増やす方法」です。

一つ目の「乳酸菌を外から取り入れる方法」ですが、乳酸菌は胃酸などで死滅してしまうために食事からの摂取は非常に難しいとされています。しかし、最近では「生きたまま腸に届く乳酸菌」を謳った食品もいくつかでていますのでそれらを試す価値はあると思います。

また、食べ物ではありませんが、いわゆる「ビオフェルミン」も生きた乳酸菌を取り入れる最も効果的な方法と言えます。ビオフェルミンは幼児からお年寄りまで服用できるそうですが、ビオフェルミンにもいくつか種類があるようなので使用に関しては必ず医師か薬剤師に相談しましょう。

尚、生きたままの乳酸菌が体内で定着するか否かは体質によるのと、ある程度の期間が必要とのことです。余談ですが免疫力強化が目的のためであれば死滅した乳酸菌でも効果があるとのことです。

二つ目の「体内にある乳酸菌を増やす方法」は日常の食事で可能かつ効果的ですので、まずはこちらから試すのがよいかと思います。

体内にある乳酸菌を増やす方法として、代表的なのはオリゴ糖を摂ることです。オリゴ糖は乳酸菌の一種であるビフィズス菌を増やす作用があります。オリゴ糖を多く含む食材は「バナナ」「大豆」「ごぼう」「たまねぎ」などです。また「オリゴ糖入りヨーグルト」や「オリゴ糖入り牛乳」、その他にもオリゴ糖入りの食品は沢山あります。

トクホ(特定保健用食品)という厚生労働省が健康に有用であることを認めたものがあります。食品として乳酸菌やオリゴ糖を摂る場合は、それらを参考にしてもよいでしょう。

その他、ニンニクに含まれるアリシン梅干しや酢の物などに含まれるクエン酸もビフィズス菌を増やす作用があります。

乳酸菌の寿命は非常に短いとされますので、乳酸菌を外から入れるとしても増やすにしても毎日続けることが大変重要です。

◇ビタミンを摂る
ビタミンの中でもビタミンEは便秘解消に有効です。ビタミンEは腸の蠕動運動を促進するプロスタグランジンの生成を補助する作用があるためです。その他、全身の血行をよくしたり、自律神経を整える働きがあるので腸の働きを順調にさせると言えます。

またビタミンB1パントテン酸も腸の蠕動運動をよくする働きがあるので一緒に摂るとよいでしょう。

注意点として、これらは食べ物の話です。サプリメントで摂取するという場合は必ず妊娠中でも安全か薬剤師かメーカーに確認をとってから使用しましょう。

◇水溶性食物繊維の摂取
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。両方とも便秘解消に効果的なのはよくご存知かと思います(食物繊維の説明)。しかし妊娠中の便秘は直腸性便秘になっている可能性が高いので、できるだけ水溶性食物繊維をとることをオススメします。

水溶性食物繊維は果物などに多く含まれるペクチンコンニャクや海藻などに含まれるアルギン酸、キノコなどに含まれるグルカンなどが代表的です。効率的に水溶性食物繊維を摂取したい場合は以下のような食べ物を中心に摂取するとよいでしょう。

【水溶性食物繊維を多く含む食べ物】
 ※可食部100g中に水溶性食物繊維が1g以上含まれている食べ物

にんにく(りん茎生)
切り干し大根
ごぼう(ゆで)
オクラ(ゆで)
芽キャベツ(ゆで)
モロヘイヤ(生)
にんじん
納豆
アボガド
そらまめ
・海藻類
・オートミール

水溶性食物繊維には善玉菌を増やす作用もありますので非常に便秘に効果的と言えます。

その他「白米」が直腸性便秘に効果的と言われます。白米には水溶性食物繊維は殆ど含まれていないのですが、調理過程でかなりの水分を含ませるため水溶性食物繊維と同様の働きをすると言われています。玄米胚芽米などは水溶性食物繊維も含みますので、少し水分を多めに炊いて食べるのも効果的と考えられます。

◇こまめな水分補給
妊娠中は便が固くなる傾向があります。便を柔らかくするためにはこまめな水分補給が重要です。まずは朝、起きぬけに水か牛乳を一杯飲む習慣をつけましょう。目覚めの水分補給は胃・大腸反射を起こし、腸の蠕動運動を活発にするのにも効果的です。

またスープや味噌汁など食事から水分をとることも心がけましょう。夕方以降に水分を多くとるとむくみやすくなりますので、日中、特に夕方以前にこまめに水分を摂る習慣をつけましょう。

日常習慣で妊娠中の便秘を解消

日常習慣で一番重要なのは「便意を無視しない」ということです。妊娠中は直腸性便秘になりやすいので便意を無視して排便を我慢するのはご法度です。それを実践するには規則正しい生活をおくり、トイレに行く時間をしっかりとることが重要です。

また妊娠中は腹筋が弱まりやすいので、腹筋を鍛えることも大切です。ただし、ハードな運動は赤ちゃんによくありませんので、軽い運動を毎日続けることで十分です。

軽い運動とは「ウォーキング」や「ストレッチ」「軽めの体操」です。また軽めの運動ではないですが「水泳」も効果的なので定期的に行うことをオススメします。

妊娠中の便秘で気をつけること・注意点

妊娠中の便秘は多くの人が経験することなので焦る必要はありません。このサイト以外にも多くの情報があります。

ただし、色々試したけど全く効果が無いという場合もあるかもしれません。その場合は迷わず医師に相談しましょう。決して自分の判断で便秘薬や浣腸剤を使用しないでください。漢方薬やハーブ類も専門医に相談してから使用するようにしてください。

また妊娠中の便秘は便が固くなりやすくなります。その為、便がなかなか出ず、いきみすぎて痔になる方も大変多くいるようです。そのような場合はいきむのはほどほどにして前述の水溶性食物繊維と水分を多めに摂るようにしましょう。それでもダメな場合は医師に相談して対処してもらいましょう。

■便秘についてもっと調べる
下の検索フォームに便秘について調べたいことがらを入力して検索ボタンを押して下さい。単語で区切ると便利です。(ex.「便秘 食事」 →検索)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加