血栓
血栓【概要】
- 血栓とは血管内にできる血小板とフィブリンの塊。
- 血栓症は凝固系と線溶系のバランスが崩れた時に発症しやすくなる。
- 血栓の予防は基本的に生活習慣病の予防と同じ。
血栓とは血管内にできる<血小板>と<フィブリン>という蛋白質でできる塊のことです。血栓は血管が損傷した場合、止血する役目を持っています。
健康な血液や血管であれば血栓は止血の役目を終えると溶けてなくなります。しかし、健康な血液や血管でない場合は、血栓が血管に詰まり重大な病気のキッカケとなります。
血栓ができる仕組み
血栓ができる仕組みは皮膚における"かさぶた"とほぼ同じです。血管が損傷すると血液中の血小板が集まり止血を行います。血小板だけでは不十分なので、フィブリンという蛋白質が血小板に合わさって完全に止血します。この仕組を「凝固系」と言います。そしてこの血小板とフィブリンが合わさったものが血栓です。その血栓下で血管細胞は再生し、血管の損傷は治ります。
血栓を溶かす仕組み
傷が治った後の"かさぶた"ははがれ落ちますが、血管内ではそうなりません。しかし私達の体には「線溶系」という血栓を溶かす仕組みがあります。血栓が役目を終えると血中に含まれるプラスミノーゲンという物質が変換され、プラスミンという蛋白質分解酵素になります。そのプラスミンが血栓を溶かし元の血管に戻すのです。
血栓ができる原因
健康な血液や血管であれば血栓は何の問題もありません。しかし、何らかの原因で凝固系と線溶系のバランスが崩れ血栓ができやすい状態になると、血栓が溶かされず、血管が狭くなったり詰まるという症状に発展します。
血栓ができやすくなる要因としては次のようなものがあります。
1.頻繁に血管が損傷する
高血圧による血管への圧力、高脂血症によるドロドロ血液、糖尿病などによる赤血球の変化等は絶えず血管を損傷させ血栓を蓄積させます。
2.長時間にわたる血流の圧迫
長時間同じ姿勢でいると血管が圧迫される箇所があり、その部分で血栓ができやすくなります。エコノミークラス症候群もこれが原因です。
3.血液状態の変化
血中の水分が不足したり、コレステロールにより血液粘度が高くなったり、妊娠・出産時などの血液成分の変化は凝固系と線溶系のバランスが崩れ、血栓ができやすくなります。
血栓に伴う病気
血栓によって血管が詰まることに起因する病気を血栓症と言います。血栓症を一つの病気とするならば、日本人における死因のトップになります。
血栓症で代表的なものは脳梗塞と心筋梗塞です。その他にも血栓が詰まる場所によって以下のような病気があります。
・動脈血栓症
・静脈血栓症
・肺血栓塞栓症
・門脈血栓症
・腎静脈血栓症
・etc.
血栓症の予防
血栓症の予防は簡単に言うと健康な血液と血管の維持ということです。基本的には生活習慣病予防とほぼ同じです。その中でも血液サラサラと血管の弾力性が重要と言えます。具体的には次のようなものです。
・水分を十分に補給する
・ストレスを溜めない
・適度な運動を行う
・喫煙、アルコールを控える
・十分な睡眠をとる
・etc.
血栓症に効果的な食品・成分
血栓を予防する食品や成分もやはり血液サラサラと血管の弾力性に観点が置かれます。具体的には次のようなものです。
●オメガ3脂肪酸を摂る
DHAやEPAといったオメガ3脂肪酸はコレステロールや中性脂肪を減らしたり血管を柔らかくする作用があります。さらに血小板の凝集を抑制する作用もあり、血栓症にもっとも効果的な成分と言えます。オメガ3脂肪酸を多く含む食品は、さんま、あじ、さばなどの青魚やマグロのトロに多く含まれています。
●抗酸化作用のある成分・食品
抗酸化作用を持つ成分はコレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を予防します。抗酸化作用を持つ代表的な成分とは、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド、フラボノイド、ポリフェノールなどです。これらはトマトやピーマン、ぶどう、グレープフルーツ、コーヒーなどです。
●食物繊維
食物繊維はコレステロールや中性脂肪を減らす効果があります。
●大豆製品を摂る
納豆や豆腐などに含まれる大豆たんぱく質はコレステロールや中性脂肪を減らす効果があります。また強力な抗酸化作用も持っています。
逆に血栓症のリスクが高まる食品はコレステロールの多いもの、塩分、糖分の多いものです。
血栓に効果があると思われる食品成分
血栓に効果があると思われる健康成分には以下のようなものがあります。